旧穴守稲荷神社門前鳥居

かつて羽田穴守町（現在の羽田空港内）にあった「穴守稲荷神社」の門前にあった朱鳥居。穴守稲荷神社の社殿や他の鳥居は進駐軍によって壊されたのですが、この鳥居だけは撤去できなかったそう。

接収当時、ロープをかけて引き倒そうとしたところ、作業員に死傷者が出る惨事に。その後も何度か試みたそうですが、その度に工事関係者が事故にあったり病気になったりと災難が続き、「祟り」「呪い」と関係者が怖れて長い間そのままになっていました。

現在地である弁天橋脇には1999年、つまり神社取り壊しから50年以上を経てようやく移動。結局取り壊しではなく移設という形をとりました。

「鳥居をロープで引き倒し」なんて、いかにもアメリカらしいというべきか。。この鳥居の側にある碑を見ると、当時の地元の方々の無念さがひしひしと伝わってきます。

人々の思いが「怨念」となったのか、あるいは「羽田を守る」という土地神としての大きな力なのか。。いずれにしても最終的に取り壊されることなく残ったのは良かったですし、そういう思いも重ねると、ここから見える羽田空港の離発着の景色もまた感慨深いものがあります。

鳥居の向こうに見えるのが羽田空港の滑走路